ロダン美術館

画像提供:   斉藤 隆夫 氏     2021.04

仙台の斉藤さんからの投稿です。
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ロダン美術館の「カレーの市民」

 パリ中心部の7区にかつてロダン(1840-1917)がアトリエとしていた建物を改装し,1919年に開館したロダン美術館がある。
前庭には「考える人」、「地獄の門」、「カレーの市民」等が野外展示されており,この構成は上野の国立西洋美術館と同じであるが,「カレーの市民」は上野の国立西洋美術館とは違い高い台座は設けておらず,像と同じ高さの視線で鑑賞することが出来る。これは生前ロダンが希望した展示方でもある。
フランス革命時代に人が住んでいた館内はそれほど広くは感じられないが、
ロダンが制作した石膏で作られた習作が多く展示されており、まるで生きているかのような描写力には驚かされる。
 特に「カレーの市民」に関しては石膏で作られた習作を中心に何点か展示されていたが普通目にするブロンズ像とはポーズが少し違っていたのが印象に残った。
言うまでもないが「カレーの市民」は英仏間の百年戦争当時、1347年にフランスのカレーがイギリス軍に1年以上包囲され,兵糧攻めにより、もう持ち堪えられなくなった時にイギリス側が6人を見せしめに渡せば包囲を解くと通告した史実に基づいている。
 6人それぞれが確実に迫り来る死を前にして絶望の淵に立たされ、哀,泣,哭,号、乱、忍、等の様々な感情を呈している瞬間を見事に捉えておりロダンの最高傑作として評価が高い。
  特に直立不動の姿勢を取り、まっすぐ前を見据え,手には当時城塞都市であったカレーの降伏の印として大きな城門の鍵を携えているジャンデールの姿は自己の絶望と市民を自己犠牲の下に救わなければならないとの決意が入り交じった表情を見事に現しており、6体の群像の中でも異彩を放っている。 
室内に展示されているジャンデールの像をよく見ると今までまっすぐ前を見据えているかと思っていた視線がわずかだが左の方に向いているのに気がついた。
群像の中で視線の方向を見ると片手を上げ、まるで「何で自分がこんな目に遭わなければならないのだ」と叫んでいるような若者をたしなめている様にも思える。ロダンの表現力には改めて感心することとなった。
 この像は日本では静岡美術館、大原美術館、上野の国立西洋美術館でも見ることが出来る。
このほかに「考える人」,「バルザック」、等が展示されている。短時間で全てを鑑賞することは無理がある。
レストランが併設されており、昼食を取ったがボリュームが半端ではなく、肉食を主体とする欧米人との差を思い知らされた気がした。
カレーはさすがになかったですね。









































カレーの市民

















おまけ *** ロダン美術館










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