ナポレオンの棺の話

画像提供:   斉藤 隆夫 氏     2020.04

仙台の斉藤さんからの投稿です。
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 丁度2年前にフランスへ行く機会がありナポレオンの棺を見る機会があった。

 パリ七区にあるアンヴァリッド廃兵院は騎士の甲冑、日本の鎧、戦車等を展示している軍事博物館、傷痍軍人のための病院、ナポレオン廟、教会等が同じ敷地内に同居した軍事色の強い施設で、中央に位置する金色に輝くドーム教会の真下、直径十m程のホールの中央にナポレオンの棺が安置されており、周囲を十体以上の二mを超す天使の立像に見守られナポレオンが永遠の眠りについている。

 磨き抜かれた暗緑色の大理石の台座の上にやや赤みがかった褐色の大理石の棺が置かれており、天使の像の外周にはナポレオンの数多の業績が説明文と他の人物より体が一回り大きい彼のレリーフによって展示されているが、レリーフは月桂冠を被りギリシア神話のゼウスの如く絶対的存在として君臨し、人々を睥睨するかの様に表現されており、ナポレオン法典を始め、様々な業績を超人的な力で成し遂げた事等が辟易する位誇張されている。

 同行したフランス人にナポレオンはフランス国内では実際はどの様に評価されているかを尋ねた所、即座にブッチャー(屠殺者)との答えが返って来た。彼の並外れた野望と戦略により多くの人々の血が無為に流されたとの意味であろうと理解した。ナポレオンは自己顕示欲と傲慢性を合わせ持った性格であったらしく、戴冠式でも実際は冠を自ら頭に乗せたというのが真実らしく、その模様は画家ダヴィッドの下書きにも残されている。ナポレオンの遺体は死後20年近く経ってからフランスに返還されたが、現在の廟に安置される時に生前仕えた将軍の一人が棺へ敬意を払わなかった事が一時棺の中はナポレオンの遺体ではなく、当時英国にいたナポレオン関連のコレクターにより、故意に他人の遺体にすり替えられたのでは無いかとのかとの噂が広まったらしいが、多分生前に無理難題を押し付けられ、酷使されたので苦々しい思いで参列したのがこの逸話の真相であろう。

  コロナで自宅待機を余儀なくされております皆様の息抜きになれば幸いです。
 斉藤 記



ナポレオンの棺の話



















ナポレオンの棺






















軍事博物館の内部


















ジョセフィーヌの棺








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